日本臨床麻酔学会誌
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日本臨床麻酔学会第39回大会 シンポジウム ─周術期の血管拡張薬 up to date─
「あまりにも身近な」硝酸薬とニコランジルの令和時代周術期における役割
岸 拓弥
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2020 年 40 巻 7 号 p. 630-633

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抄録

周術期における硝酸薬はイメージとして心血管イベント発症抑制に有用であると誰もが思っていることであろう.しかしながら,これまでの臨床研究ならびにメタ解析では,心血管イベント発症抑制ならびに心筋虚血保護にニトログリセリンが有効であることは示せていない.したがって,ガイドラインでも明白な推奨はされておらず,むしろ耐性や血圧低下・過剰な前負荷軽減に対する懸念がある.ニコランジルは機序的には周術期において有効であると期待できるが,エビデンスは十分ではない.したがって,硝酸薬もニコランジルも,周術期において「なんとなく」「念のため」の使用は避けるべきである.

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© 2020 日本臨床麻酔学会
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