下肢静脈瘤ストリッピング術施行中に肺血栓症を発症した症例を経験した.腰部持続硬膜外麻酔法であったため,患者の訴えた胸部違和感,呼吸困難感などから早期より本症を疑い,Swan-Ganzカテーテルによる肺動脈圧測定,Digital Subtraction Angioraphy (DSA),肺血流シンチグラフィーの所見より肺血栓症の臨床診断を得た.治療としてウロキナーゼ,ヘパリンを持続投与したところ,副作用と思われる創部出血のために投与中止を余儀なくされたが,肺血流シンチグラフィー上改善を認め無事退院した.診断に必要な検査に関しその侵襲度,速やかな適用性を考慮すると,DSAがより有用であると考えられた.