抄録
目的 : 子宮内膜細胞診における標本作製の諸問題を把握し, それらの解決方法を検討する. また, 臨床運用に即した報告形式を考察し, 細胞採取より報告までの診断システムを作成する.
方法 : 1. 子宮内膜細胞診における標本の適正を定義し, その定義に基づいて過去に診断された標本を再評価する. 2. 適正標本を作製するための手技的問題を検討する.
成績 : 1. 標本が不適性である原因として, 臨床情報不足が最も高頻度に認められ, 9.0%であった. 次いで細胞採取量の不足が多く, 5.7%に認められた. 2. 細胞診標本においては, 内膜から採取された検体の圧挫を行わず, 直接塗抹する方法が観察性に優れている. また, 観察性を低下させる因子としての出血性背景や標本の乾燥は, 標本を作製する際の工夫や注意によって改善される必要がある.
結論 : 子宮内膜細胞診において, 婦人科医による正しい臨床情報提供の再認識が求められる. また, 細胞検体の採取・塗抹においては観察性を保ち十分な細胞量を得る工夫が必要である. 今後, 子宮内膜診断システムにより, 精度の高い細胞採取および標本作製が実現され, より高い精度の診断が実現されることが期待される.