日本臨床細胞学会雑誌
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症例
胸水細胞診が診断に有用であった顆粒球肉腫の 1 例
山崎 加奈子河原 真弓子貞嶋 栄司木下 準子岸田 奈津有馬 文統大島 孝一入江 康司
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2010 年 49 巻 5 号 p. 347-351

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抄録
背景 : 縦隔腫瘤を伴う患者の胸水細胞診にて顆粒球肉腫と診断した症例を経験したので報告する.
症例 : 患者は 50 歳代, 女性. 呼吸困難および顔面浮腫を主訴に当院受診となった.
初診時の血液および生化学検査に異常はなく, 画像検査にて胸壁肥厚, 縦隔腫瘤, リンパ節腫大および胸水貯留を指摘された. 悪性リンパ腫あるいは悪性中皮腫が疑われ, 胸水細胞診が施行された. 細胞診では, 小∼中型の異型細胞を孤立散在性に多数認め, 細胞質は狭く好塩基性, 一部に細胞質内小空胞を有し, 核は類円形で核縁不整を認めた.
核クロマチンは微細で多発性の核小体を認め, 悪性リンパ腫を考える細胞所見であった. しかし, 免疫組織化学染色にて CD3・CD20・CD79αが陰性であったため, 胸水細胞診を再検討するとアズール顆粒やアウエル小体を有する細胞を認めた. peroxidase 染色にて多数の陽性細胞を認め, フローサイトメトリーや免疫組織化学染色を総合し顆粒球肉腫と診断した.
結論 : 顆粒球肉腫はまれな疾患であり細胞診で経験する機会は少なく, 悪性リンパ腫と誤診されることが多い. 正確な診断による治療の選択が患者の予後を左右するため, 詳細な細胞観察に免疫組織化学染色を加え診断することが重要である.
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© 2010 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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