日本臨床細胞学会雑誌
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症例
神経外胚葉分化を伴った子宮癌肉腫の 1 例
間崎 和夫釘宮 剛城青木 千津田邊 なおみ三宅 洋子渋谷 和俊大村 剛森田 峰人
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2013 年 52 巻 2 号 p. 128-133

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抄録

背景 : 子宮癌肉腫の間葉系の異所性成分としては横紋筋肉腫, 軟骨肉腫, 骨肉腫などの中胚葉が多く, 神経外胚葉分化を伴うものはまれである. 今回われわれは未熟な中胚葉と神経管様組織などの神経外胚葉分化を伴った奇形腫様の子宮癌肉腫を経験したので報告する.
症例 : 59 歳, 女性. 閉経は 51 歳. 不正性器出血を主訴に当科へ紹介され, 骨盤 MRI 検査で子宮体部内腔に 98×77 mm の腫瘤を認めた. 子宮内膜細胞診では壊死物質を背景に大小不同の核異型の強い細胞を認め, 子宮内膜組織検査では癌肉腫が疑われた. 術中の腹腔洗浄細胞診では小型の乳頭状集塊と砂粒体を有した集塊を多数認め, 子宮全摘出術+両側付属器摘出術+骨盤リンパ節郭清術+傍大動脈リンパ節郭清術+大網切除術が行われた. 摘出子宮の病理組織所見は腺癌のほかに円形または紡錘形の異型細胞が増殖し, 神経管様組織, 未熟な軟骨, 脂肪, 扁平上皮を認めた. 免疫染色では GFAP, S-100 蛋白染色が陽性であった.
結論 : 術前の子宮内膜細胞診では多彩な細胞を認め診断は困難であったが, 腹腔洗浄細胞診では腺癌が疑われ, 摘出子宮の組織診で未熟な中胚葉と神経外胚葉分化を伴った子宮癌肉腫と診断された.

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© 2013 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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