抄録
背景 : 外陰癌腺癌は, 外陰癌の約 4%と比較的まれである. その中でも外陰部に発生した極めてまれな mammary gland-like adenocarcinoma (以下 MGA) を経験したので報告する.
症例 : 症例は 56 歳. 1 年前から右側外陰部に腫瘤感を自覚した. 右外陰に 5 cm 大の可動性不良の硬い腫瘤があり, 骨盤内に多発リンパ節腫大を認めた. 腫瘍表面からのガラス擦過細胞診検査では核の偏在傾向を示す重積を伴う細胞集団を認め腺癌と診断され, また一部にインディアンファイルを思わせる線状配列を認めた. 腫瘍生検組織は, 乳癌の硬癌と類似の所見だった. 免疫組織染色は, ER・PgR は陽性だった. 外陰部腺癌 (MGA) stage IVB 期と診断し, 化学療法併用放射線療法を施行した.
結論 : 正常外陰部皮膚には, mammary-like glands の存在が知られており, 同部位から発生する腺癌は極めてまれである. 病理組織学的には乳癌に類似していることが多く, 乳癌の転移性腺癌との鑑別が重要になる. これまでに乳癌や胸部疾患の既往はなく, mammary-like glands から発生した MGA と考えた.