抄録
背景 : 胞巣型横紋筋肉腫 (ARMS) は骨格筋への分化を伴う軟部悪性腫瘍である. 未分化な小型円形細胞を主体とし, 形態学的所見のみで組織型を推定することは必ずしも容易ではない. 今回われわれは ARMS を経験したので, 細胞学的特徴とセルブロックの有用性を併せて報告する.
症例 : 40 歳代, 男性. 眼瞼浮腫を主訴に近医眼科受診. 精査目的に当センター耳鼻咽喉・頭頸部外科紹介となった. 画像上, 篩骨洞中心に不整な腫瘤と左唾液腺領域やリンパ節に転移を疑う腫瘤が認められた. 左耳下腺部および頸部リンパ節から穿刺吸引細胞診が施行された. 腫瘍細胞の多くは核密度の高い集塊を形成して出現し, 木目込み配列も観察された. 線維状に伸びる間質には裸核状の腫瘍細胞が強固に結合していた. ライトグリーン好性でやや厚みのある細胞質を有する腫瘍細胞もみられた. セルブロックを作製し, 免疫染色を追加した結果, 腫瘍細胞は myogenin に対し高率に陽性を呈したことから, ARMS が疑われた. また, 副鼻腔より生検が施行された.
結論 : ARMS は日常の検査で遭遇する頻度は高くない. 細胞所見を丁寧にとり, セルブロックを用いて免疫染色を併用したことが組織型の推定に有用であった.