2017 年 56 巻 6 号 p. 297-302
背景 : 穿刺吸引細胞診にて淡明細胞型腎細胞癌との鑑別が問題となった血管肉腫を経験し, その診断に Giemsa 染色が有用であったので報告する.
症例 : 患者は 50 歳代, 男性. 体調不良の精査時に CT にて後腹膜腫瘍および多発転移を認めた. 転移リンパ節より穿刺吸引細胞診および組織生検が行われた. 細胞診パパニコロウ染色標本では, N/C 比が低く, 細胞質がレース状で, 核小体の目立つ明るい核を有する細胞が, 上皮様結合を示す集塊で認められた. 腎明細胞癌との鑑別が問題となったが, Giemsa 染色標本では明瞭な赤血球内包像を認め, 血管肉腫を疑った. 生検組織は大型円形~楕円形核をもつ細胞が密に増殖する像であった. 免疫染色で腫瘍細胞は CD31, D2-40 陽性を示し, 血管肉腫と診断された.
結論 : 血管肉腫はまれな腫瘍である. なかでも後腹膜血管肉腫は, 画像診断が難しく, 予後不良な腫瘍である. よって, 穿刺吸引細胞診断は重要な位置づけにあり, 精度の高い診断が望まれる. その細胞診断においては Giemsa 染色での赤血球内包像が有用であった.