日本臨床細胞学会雑誌
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原著
トリノ基準に則った甲状腺低分化癌の再検討
—トリノ基準は低分化癌の細胞診断に影響を及ぼすか?—
丸田 淳子伊藤 有紀子山本 加菜横山 繁生内野 眞也
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2019 年 58 巻 6 号 p. 249-255

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抄録

目的 : 甲状腺の新 WHO 分類 (第 4 版) で用いられている低分化癌の組織診断基準 (トリノ基準) が, 細胞診断に及ぼす影響について検討した.

方法 : 過去に低分化癌と診断されていた 48 例をトリノ基準に則って再診断した. 甲状腺細胞診ベセスダシステムにおいて細胞診検体が適正であった低分化癌 17 例と, 充実性 (solid)・索状 (trabecular)・島状 (insular) の増殖パターン (以下, STI パターン) を示す非低分化癌 (乳頭癌 15 例と濾胞癌 4 例) に診断が修正された 19 例を対象とし, 両群における細胞採取量, 背景, 細胞の出現パターン, 細胞・核所見を細胞学的に比較検討した. 特に, トリノ基準に必須条件として加わった 3 所見 “入り組んだ核, 核分裂像, 壊死” に注目した.

成績 : 富細胞性, コロイドの欠如, STI パターン, 不規則な重積性, 疎な結合性, N/C 比の高い細胞は両群に共通して観察され, さらに, 低分化癌では濃染核を有する均一な小型類円型細胞の出現が有意に高頻度であった. 必須 3 所見は, 1 個の核分裂像が 1 例にみられたのみであった.

結論 : 今回の検討で頻度の高かった低分化癌の細胞所見は新 WHO 分類刊行以前から指摘されており, 新たに必須条件に加わった 3 所見の出現頻度は非常に低かった. 以上のことより, 新 WHO 分類が低分化癌の細胞診断に及ぼす影響は限定的と考えられた.

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© 2019 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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