日本臨床細胞学会雑誌
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症例
乳頭癌と合併した甲状腺内胸腺癌の 1 例
伊藤 知美古市 和美森 正樹八田 聡美米元 菜採山口 愛奈樋口 翔平今村 好章
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2021 年 60 巻 6 号 p. 324-330

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抄録

背景 : 甲状腺内胸腺癌 intrathyroid thymic carcinoma (以下 ITTC) は甲状腺悪性腫瘍の 0.083%とまれな腫瘍である. 今回われわれは甲状腺左葉下極に発生し, 乳頭癌 papillary carcinoma (以下 PC) と合併した ITTC の 1 例を経験したため報告する.

症例 : 60 歳代, 男性. 嚥下困難を主訴に前医を受診. 甲状腺左葉上極と下極に 2 個の腫瘤を指摘されたため, 手術目的に当院紹介受診となった. Calcitonin と CEA が高値であり, 髄様癌疑いで甲状腺全摘出術が施行された. 術中に迅速組織検査が行われ, 腫瘍割面からの捺印細胞診も同時に行った.

下極の腫瘤の前医穿刺吸引細胞診および術中捺印細胞診においては, 炎症性背景に重積した大型集塊や核小体の目立つ異型細胞が多数みられた. 免疫細胞化学的染色では CK5/6, CD5, c-kit, p63 が陽性, thyroglobulin, TTF-1, PAX8, calcitonin は陰性であった. 切除材料では, リンパ形質細胞を背景に腫瘍細胞の島状配列がみられ, 一部で扁平上皮への分化を示した. 免疫組織化学的染色結果は上記とほぼ同様であり, ITTC と診断した. 上極の腫瘤は PC であった. なお, 背景の甲状腺組織には反応性 C 細胞過形成を認めた.

結論 : ITTC と PC が甲状腺両葉に発生した報告はあるが, 本例のように同一葉内に発生した例はない.

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