2023 年 62 巻 3 号 p. 159-163
背景:糞尿は腸管―尿路間に瘻孔が形成された際に認められる所見の一つであり,結腸膀胱瘻では気尿と並んで頻度の高い所見である.今回われわれは,尿細胞診で便成分が検出された結腸膀胱瘻を 3 例経験したため,尿検査の有用性に関する文献的考察を加えて報告する.
症例:症例 1 は 60 歳代,男性.気尿などを主訴に受診し,尿細胞診で便成分と異型細胞を認めた.各種検査により S 状結腸癌に伴う S 状結腸膀胱廔と診断された.症例 2 は 60 歳代,男性.排尿時痛などを主訴に前医を受診した際,尿沈渣で便成分の混入を認め,当院を紹介受診.検査の結果,直腸癌に伴う直腸膀胱瘻と診断された.症例 3 は 50 歳代,男性.排尿時痛などを主訴に前医を受診し,S 状結腸膀胱瘻の疑いで当院を紹介受診.S 状結腸憩室炎に伴う結腸膀胱瘻と診断された.3 例とも外科的切除が施行された.
結論:尿検査で便成分が検出された場合,結腸膀胱瘻の可能性を考慮すべきである.尿検査は侵襲性がない上に,瘻孔診断の一助となる可能性があり,積極的に施行すべきと考える.尿細胞診で糞尿が疑われた場合は,異型細胞の有無を確認するため,より注意深い検鏡が必要である.