2024 年 63 巻 5 号 p. 235-240
背景:非浸潤性小葉癌(LCIS)が細胞診検体に出現することはまれで,その細胞像はほとんど認識されていない.今回われわれは,穿刺吸引細胞診検体が採取された LCIS の 1 例を経験したので報告する.
症例:40 歳代,女性.右乳腺 EB 領域の 15 mm 大の結節性病変を自覚した.穿刺吸引細胞診では,重積性あるいはシート状集塊,孤在性の上皮細胞が多数出現していた.核は均一な類円形で核小体は小型であった.細胞質内小腺腔が少数認められ,一部の集塊に筋上皮細胞を伴っていた.敷石状の平面的集塊では細胞間に空隙がみられ,結合性低下を示唆する所見と考えられた.右乳腺部分切除術が行われた.組織学的には,筋上皮細胞で覆われ拡張した乳管,小葉内に結合性に乏しい腫瘍細胞が増殖していた.免疫染色にて E-cadherin 発現は消失しており,florid LCIS と診断された.
結論:本例の細胞診検体ではシート状あるいは重積性の集塊を作って腫瘍細胞が多数出現しており,孤立散在性あるいは線状配列にて出現する通常の ILC とは異なっていた.乳管癌との鑑別は困難であるが,細胞集塊の中の細胞間の空隙は着目すべき所見の一つである可能性がある.