抄録
男子尿道粘膜に発生した極めて稀な悪性黒色腫の尿中, および捺印標本の細胞所見, 腫瘍組織の電顕所見について検索した.
症例は, 70歳の男性で頻尿, 排尿障害, 尿道出血を主訴に来院し, 尿道腫瘍と診断され切除した. 病理組織学的検査で悪性黒色腫と診断された.
術後の尿細胞診で多数の腫瘍細胞を認めたのでその細胞像を観察した.
腫瘍細胞の多くは, 孤立散在性に出現していた. 偏在性の大型核と, 著明な核小体がみられ, メラニン顆粒の乏しい細胞は, 腺癌細胞に酷似していた.
再発部位組織の電顕所見では, 腫瘍細胞の胞体内に無数のメラノソームI型, あるいはII型を認めたがIII型, IV型をもったものは少数であった.
Papanicolaou染色では, ライトグリーンに染まる核内空胞がみられたが, 電顕ではこの空胞は核膜によって明瞭に境され, 細胞質小器官を入れていた.
本症例は, 術前に尿細胞診は行われなかったが, 悪性黒色腫の試験切除は禁忌とされているので, 本症例のような場合には, 術前の尿細胞診が重要と思われた.