抄録
尿中に出現する封入体細胞 (細胞質内)(intracytoplasmic inclusion-bearing cell, ICIB細胞) の形態学的分類を試み, 臨床診断と対比し検討した.
ICIB細胞の形態は連続的変化を示し, ウィルス性疾患にみられる多数のICIB細胞と, 健康時尿に極めて少数出現するICIB細胞は, 形態学的に本質的な差異を認めなかった. しかし, 以下に示す所見は注目された.
急性膀胱炎では他の疾患に比べてICIB細胞が小型であった.
ICIB細胞は一般に2核細胞の頻度が高い. しかし, 急性膀胱炎では単核の細胞が増加した.
ウィルス性疾患では, 濃縮したクロマチン周囲がハロー状になるものと, その部位が灰色がかった染色性を示すもの, およびその中間の所見を示すICIB細胞が増加した. また, 一ICIB細胞中に1個のICIBを有する細胞も増えた.
5核以上の多核ICIB細胞は, 流行性耳下腺炎や麻疹にみられたが, その数は少なかった.
今回の成績からICIB細胞の由来を考えると, 上皮性細胞に限るより遊走系のmacrophageやmonocyteも含まれる可能性が強く, 今後免疫複合体処理に関する観点からの解明が必要と思われる.