1982 年 21 巻 3 号 p. 488-494
骨髄穿針液のMay-Giernsa染色で一細胞が他細胞をその胞体内に取り込んでいる現象に遭遇した場合, この現象がすべてphagocytosisであるとはかぎらない. Emperipolesisである可能性もあるからである. 両現象を鑑別するためには電顕的に, 取り込まれている細胞の変性の有無取り込んでいる細胞にlyscsomeなどが存在するか否か, さらに取り込んでいる側の細胞に貪食能力があるか否かの検索, また電顕的に細胞膜染色を施すことも良い方法である. 位相差顕微鏡観察も, 取り込んでいる細胞, 取り込まれている細胞ともに生きているか否か, また取り込まれている細胞の取り込んでいる細胞内での運動状況が良くわかり, 鑑別するための有力な手段となる. これらの方法を用いemperipolesisとphagocytosisとを比較検討した.