1982 年 21 巻 3 号 p. 569-575
卵巣腫瘍はその種類が多く, 細胞診断学的に腫瘍の種類を診断したり, 腫瘍が悪性か否かを診断することは, 現在のところ決して容易ではない.
今回26例のcommon epithelial tumorの捺印細胞を retrospective に検討し, 各腫瘍型の細胞像の特徴がどの程度まで実際の組織像と一致して読み取れるかを検討し, 以下の結論を得た.
1. 細胞診断学的に各腫瘍型の診断はある程度可能である.
2. その際, low potential malignancy と carcinoma との区別はやや困難である.
3. また各腫瘍型の immature type と undifferentiated tumorとの鑑別は困難である.
4. さらにmetastatic tumor は各種の臨床データを参考にして診断を実施する必要がある.
5. これらの点に留意することにより, 卵巣のcomnmon epithelial tumor の捺印細胞診による迅速診断は可能と思われる.