日本臨床細胞学会雑誌
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子宮頸部carcinoid tumor (argyrophil cell carcinoma) の1例
その細胞像について
坂本 康紀岸 恭也山本 洋介猪野 博保
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1982 年 21 巻 4 号 p. 702-708

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抄録

近年, 婦人科領域においても, carcinoid tumorが注目されている. われわれは, 子宮頸部に発生し, 摘出術後短期間に再発し, 急速に増悪した症例を経験し, その細胞像を観察したので報告する.
症例は, 49歳の主婦で, 主訴は不正性器出血であり, 子宮腟部前唇に花野菜状の腫瘤が認められた. 子宮頸癌IIa期の臨床診断のもとに広汎性子宮全摘術および骨盤リンパ節廓清術を施行した. 摘出標本の組織像は充実性未分化癌で, 一部索状部分も認められた. Grimelius染色にて多数の陽性細胞が, 電顕的検索にては, 神経分泌様顆粒が認められた. 術後3ヵ月で再発し, その後急速に増大転移し, 術後11ヵ月で死亡した. 剥離細胞所見では, 腫瘍細胞は主として孤立性一部集塊状に存在し, 核は円形ないし短楕円形で, 大小不同は著明でなかった. 細胞質は乏しく, ライトグリーンに染まり, 裸核細胞も多かった. 核クロマチンは中等度に増量し粗大顆粒状であった. 核小体は比較的小型であった. また, 子宮頸部に発生した本腫瘍は腸管に発生した本腫瘍とは異なって, 悪性経過をとることが多いために, 頸部未分化癌に対しては特殊染色による本腫瘍のスクリーニングが必要と考えられる.

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