日本臨床細胞学会雑誌
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唾液腺病変の穿刺吸引細胞診における有用性の検討
加藤 拓高橋 久雄徳泉 美幸安藤 智子津嶋 朋子上原 敏敬
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2000 年 39 巻 3 号 p. 160-164

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抄録
目的および対象: 唾液腺病変の穿刺吸引細胞診で組織型の明らかな127例 (非腫瘍性病変21例, 良性腫瘍85例, 悪性腫瘍21例) について検索した.
成績: 良悪性の正診率は95.6%, 良性病変では97.0%, 悪性腫瘍のみでは86.7%, 組織型の一致率は76.3%であり, 誤陽性は3例, 誤陰性は2例であった.また細胞不採取による判定不能例が10.2%(13例) みられた.誤陽性は多形腺腫を腺房細胞癌, 基底細胞腺腫を腺様嚢胞癌およびワルチン腫瘍を異型細胞としたそれぞれ1例であった.誤陰性は腺様嚢胞癌および多形腺腫内癌をそれぞれ多形腺腫とした2例であった.
結論: この病変における細胞診の見方は (1) 組織像を念頭におき, 診断することが必要であった.その際には (2) 臨床所見を参考に, 初めに炎症性なのか, 腫瘍性変化なのかを判断することが大切であった.(3) 良性腫瘍の96.5%(82/85) は多形腺腫とワルチン腫瘍であるため, これらの腫瘍を確実に診断することが大切であった.(4) 悪性腫瘍に多い粘表皮癌, 腺房細胞癌および腺様嚢胞癌は単一細胞で出現し, 細胞異型が乏しいことが多い.そのため, 良性腫瘍と判断しやすい傾向にあり, これらの細胞出現形態を良く把握しておくことが大切であった.また,(5) 細胞不採取による判定不能例 (病変部に起因, 技術的なものに起因) をできるだけ少なくすることが必要であった.
穿刺吸引により病変を構成するすべての細胞が採取されているとは限らず, むしろ一部の細胞しか採取されていない症例もある.そのため, 採取されたすべての細胞とその背景的変化を丹念に観察し, 臨床所見も参考に総合的に診断することが大切であった.
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