日本臨床細胞学会雑誌
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明細胞腺癌成分を伴った子宮体部異所性癌肉腫の1例
海崎 泰治畑 和則水野 幸恵藤澤 仁美桑野 芳恵土田 達原田 丈典
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2000 年 39 巻 5 号 p. 318-322

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抄録

背景: 子宮体部癌肉腫の一成分として明細胞腺癌を伴うことはまれである.今回, 明細胞腺癌成分を伴った子宮体部癌肉腫の1例を経験したので報告する.
症例: 77歳, 女性.不正性器出血のため来院.術前細胞診では壊死性背景に比較的均一で小型の腺型悪性細胞の集塊と, 明細胞腺癌を推定させる豊富な細胞質, 細穎粒状のクロマチン, 大型の核小体を有する大型細胞からなるやつがしら状配列の集塊を認めた.また, 子宮膣部, 頸管細胞診では孤立散在性に出現する非上皮性と考えられる比較的大型の裸核状の悪性細胞も混在していた.子宮内膜, 頸管生検組織には内膜型腺癌成分および明細胞腺癌の成分を認めたが, ともに肉腫成分を疑わせる部分は採取されていなかった.摘出標本では上皮成分として内膜型腺癌, 明細胞腺癌の成分が, 非上皮成分として問質肉腫, 軟骨肉腫の各成分が含まれ, 子宮体部異所性癌肉腫と診断した.
結論: 明細胞腺癌成分や肉腫成分を伴う子宮体癌は予後が非常に悪いため, 通常の内膜型腺癌診断時にも予後不良因子の組織を剥離細胞診などを併用して見逃さないことが重要と考えられた.

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