抄録
背景:唾液腺の腺房細胞癌は比較的まれな腫瘍で, 細胞異型に乏しいため穿刺吸引細胞診での診断は困難とされている.今回われわれは, 穿刺吸引細胞診で耳下腺腺房細胞癌と診断し得た症例を経験したので報告する.
症例:症例は28歳の女性, 左耳下部腫瘤を自覚し来院.腫瘍性病変が疑われたため, 穿刺吸引細胞診を施行した.細胞像としては, 出血性背景に乳頭状, 小腺管状構造を呈する上皮の大型集塊および, 充実性の小型集塊が不規則重積性に多数出現する像が認められた.腫瘍細胞は類円形で, 核は異型性に乏しく, 泡沫状の細胞質を有しており, 一部の細胞ではPAS染色陽性, Giemsa染色で好塩基性を示す穎粒を認めた.以上より, 耳下腺腺房細胞癌が強く疑われ, 耳下腺浅葉切除術が施行された.腫瘍の切除検体において, 組織学的にも耳下腺腺房細胞癌の診断が得られた.
結論:穿刺吸引細胞診にて耳下腺腺房細胞癌の診断が可能であることが示唆された.