日本臨床細胞学会雑誌
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細胞診自動診断装置AutoPapを用いた子宮頸部細胞診の精度管理
植田 政嗣植木 實森川 政夫清水 章布引 治野田 定西田 浩
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2001 年 40 巻 2 号 p. 200-203

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抄録

目的:子宮頸癌細胞診の精度管理における自動化システムの有用性について検討した.
方法:陰性頸部細胞診標本816例上細胞診自動診断装置AutoPapで再評価した. また, わが国におけるAutoPapを用いた頸部細胞診の精度管理状況上把握するために, 過去3年間に臨床細胞学会で報告された本邦5施設の成績を集計した.
成績:816例を閾値20%で評価した結果, 再検不要633例 (77.6%), 要再検99例 (12.1%), 塗抹細胞量不足18例 (2.2%), 標本不備66例 (8.1%) であった. 要再検99例をPapMap (AutoPapが示す注目すべき細胞の位置) を併用して再検鏡したところ, 97例は陰性で, 57例は軽度の炎症のみ, 他は老人性変化, 化生細胞, 重積性の著明な頸管腺細胞, 修復細胞, ASCUSなどがみられた. また2例に軽度異形成が検出され, スクリーニングエラーと考えられた. 標本不備の66例は, 大部分が染色性不良と標本上のゴミが原因であった. 一方, 本邦5施設における精度管理では, 総計8468枚の陰性標本から16枚 (0.19%) のスクリーニングエラーが検出された. これは米国の大手検査機関と比べてもきわめて優れた成績であり, 本邦の細胞検査士による1次スクリーニングの優秀性と同時に, AutoPapの精度管理への適用の妥当性を示すものと思われた.
結論:AutoPapは精度管理用装置として有用と考えられた.

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