抄録
背景:比較的新しい疾患概念であるatypical teratoid/rhabdoid tumor (AT/RT) の1例を経験したので, その細胞像を中心に報告する.
症例:2歳, 男児. 左上肢筋力低下を主訴に来院した. 頭部CT, MRI検査にて右視床を中心に径約5cmの辺縁不整な腫瘤が認められた. 術中迅速時に作製した捺印細胞Papanicolau染色標本では, 壊死物質, リンパ球を背景に, 明瞭な核小体を認める, 異型の目立つ類円形核を有する, やや大型で, 細胞境界の不明瞭な腫瘍細胞が散在性, 小集塊状に出現していた. 硝子様背景の中に楕円形~紡錘型の異型細胞小血管様構造が混在した大きな集塊もみられた. また, 前者の中に, ライトグリーン好性の細胞質内封入体を有するrhabdoid cellsもみられた. 術後の脳脊髄液中にも, 同様の類円形の異型細胞およびrhabdoid cellsを認めた.
結論:組織像を反映し, 細胞診でもAT/RTは多彩な像をとっていた. 髄液中のrhabdoid cellsの出現は同腫瘍の診断の決め手になると思われた.