日本がん看護学会誌
Online ISSN : 2189-7565
Print ISSN : 0914-6423
ISSN-L : 0914-6423
原著
がん性疼痛に対する患者の疼痛評価と対処行動
新貝 夫弥子渋谷 優子
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 13 巻 2 号 p. 38-47

詳細
抄録

要 旨

本研究の目的は,がん性疼痛に対し患者がどのように疼痛評価し,どのような対処行動を取っているかを明らかにすることである.対象は,おもに外来でモルヒネを使用したがん性疼痛コントロールを行っている女性のがん患者35名.データは,がん性疼痛を評価するためのCleeland C.S.らによって開発されたBPI(Brief Pain Inventory)とがん性疼痛に対する対処行動を評価するために独自に作成した質問用紙の2種類の測定用具を使用し,面接調査によって収集した.その結果を以下に記す.

1.1日の最も長い時間体験する平均の痛みと生活障害は疼痛評価の重要な指標である.モルヒネの使用量と疼痛評価及び生活障害に有意差はなかった.

2.痛みの増強に比例して生活全体の障害の程度が高くなり,障害される項目も増加する.

3.痛みの強い対象ほどタッチングを必要としている.がん性疼痛に対する理学療法や認知・行動的アプローチは,まだ十分に行われていない.

4.忍耐,麻薬に対する偏見,支援者との問題,高齢は,疼痛コントロールを阻害する原因となりうる.

5.対象は,医師や看護婦とコミュニケーションが十分に図れていたが,家族に対して症状を軽く訴える傾向があった.意志決定は家族及び看護婦の間では患者が,医師との間では医師が主導権を持っていた.

以上から,がん性疼痛緩和にとって生活障害を軽減することが重要であり,患者の主体性を育てる患者教育と家族教育が課題であることが示唆された.

著者関連情報
1999 一般社団法人 日本がん看護学会
次の記事
feedback
Top