2003 年 5 巻 1 号 p. 63-65
糖尿病クリニカルパス導入後3年間の糖尿病治療成績、平均在院日数を導入前と比較検討した。導入後3年間をe-パス(クリニカルパスに計画している依頼項目をオーダリングシステムに組み込んだもの)活用前後(前半期、後半期)に分けて検討した。いずれも重症合併症を伴わない糖尿病入院患者を対象としている。血糖コントロールの指標としてHbAlcを用いた。パス導入前に比較して、導入後前半後半期ともに退院6ヶ月後の患者のHbAlcは統計学的に有意に約1%低下していた。一方、在院日数もパス導入前に比較して導入後前半後半期ともにほぼ6日間の短縮を認めた。後半期の臨床成果はe-パス活用前である前半期とほぼ同程度であったが、e-パス活用により業務の効率化が図られた。パス導入後3年間の検討により、導入前に比較して良い治療成績がコンスタントに維持されることが明らかとなった。糖尿病e-パスの実践成果として、便宜性と医療安全性の高揚があげられると思う。臨床成果向上と医療の効率化の両立を糖尿病e-パスは提供したと考える。