日本障害者歯科学会雑誌
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原著
障害児者に適した歯ブラシ選択のための基礎的研究
―第5報:毛先形態およびヘッドサイズが異なる歯ブラシの隣接モデルにおける清掃性の評価―
小野 晃弘遠藤 眞美地主 知世白田 翔平山岸 敦高柳 篤史野本 たかと
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2022 年 43 巻 2 号 p. 90-100

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抄録

障害児者の効率的なブラッシングには,適切な歯ブラシの選択が重要である.しかし,歯ブラシの機能による客観的な選択の指標はない.著者らはこれまで適切な歯ブラシの客観的指標を得ることを目的に凸型単半円柱モデル(Single half cylinder model:SHCモデル)と平面モデルにビデオ(磁気)テープ法を応用して機能を評価してきた.歯科疾患のリスクの高い隣接面の清掃には,一般的に歯ブラシを清掃面に対して傾けて磨くことが重要とされる.今回は,平面と隣接部を同時に評価するために長辺片側を表面と連続した半径4.0mmで中心角90°の扇形に加工した平坦なアルミブロック2個を向かい合わせて臼歯の隣接部を模した隣接モデルを応用し,毛先形態とヘッドサイズ,清掃面に対する角度の清掃性への影響を検討した.

ラウンド毛の歯ブラシおよびヘッドの大きさが異なるスーパーテーパード毛の2種の歯ブラシを選択した.角度に関してはヘッドの平面に対する角度をヘッド角,毛とモデルとの静的接触角を毛先角と定義して計測し,清掃性は磁性膜の剝離面積により評価した.

ヘッド角が10°以上の毛先角は,ラウンド毛の歯ブラシでヘッド角の約2倍,スーパーテーパード毛の歯ブラシでは約2.5倍になった.ヘッド角の増加に伴って隣接部の剝離面積はすべての歯ブラシで増加したが,平面ではラウンド毛では減少,スーパーテーパード毛ではヘッドの大きさにかかわらず増加傾向を示した.

隣接モデルでの清掃性は,歯ブラシの毛先形態やヘッドの大きさで異なることが示され,障害児者のブラッシング特性に合わせた歯ブラシを選択する際の機能評価の一つの指標になると考えられた.

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© 2022 一般社団法人 日本障害者歯科学会
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