屈趾症には屈曲変形をきたす関節やその程度によって槌趾, ハンマー趾, 鉤爪趾,カール趾に分けられる. 屈趾症を診る際には, 趾の解剖と変形に至る成因を考えることが重要である. 趾における外在筋の力は内在筋力に比べ相対的に強い. このような力の相互関係や両筋のアンバランス(外在筋優位)が, ハンマー趾や鉤爪趾変形の発生や進行にかかわる. 一方, カール趾は長短趾屈筋腱の緊張が強いために生じる先天性の変形である. 成因としては, 不適切な履物のような外的成因と, 神経・筋疾患,糖尿病や, 関節リウマチなどの炎症性関節炎, 外反母趾に伴うものなどの内的成因に分けられる. 保存治療としては徒手的な矯正術やテーピング, 適切な靴の選択, 装具療法がある. 手術治療では変形の程度や関節の拘縮の有無により, 軟部組織の手術か骨の操作を伴う手術, または両者を併用した術式が選択される. 軟部組織手術としては関節の解離術や腱切離術, 腱移行術がある. 骨に対する手術としては, 切除関節形成術, 関節固定術, 骨切り術, 人工関節置換術などがある.