2025 年 6 巻 3 号 p. 123-128
外反母趾患者の主な症状として, 第1中足趾節 (metatarsophalangeal: MTP) 関節内側部痛がある. 重度例の半数にハンマー趾などの外側趾病変や前足部中央の有痛性胼胝を合併しており, 外反母趾患者の症状は多様である. 診察では症状の部位を問診し, 胼胝や潰瘍, 感染, 関節拘縮の有無について評価する. 瘻孔があれば, ゾンデなどを挿入し骨の触知を確認するprobe to bone testを行う. 骨が触知されれば骨髄炎を疑い血液検査や細菌培養検査を行う. 骨髄炎が疑われれば単純X線だけでなくCTとMRIが有用である. 保存治療として, 靴の指導を行い, 筋力訓練を促すとともに, 中足痛を有する症例には足底挿板を装着して除痛を図る. 特に軽度から中等度の症例に対する保存治療は効果的である. 感染を併発している症例では, 抗生剤の処方や免荷, 靴の指導を徹底して感染を沈静化させる. 保存治療に抵抗する症例については手術治療を行う. 当科では, 外反母趾に対して第1中足骨近位回外骨切り術を, ハンマー趾を合併している症例では, 中足骨短縮骨切り術とMTP関節脱臼整復術 (手綱法) を併用している. 近位趾節間 (proximal interphalangeal: PIP) 関節に拘縮があればPIP関節固定術を行う. 特に母趾と足趾の変形や拘縮が強い症例では, 潰瘍から感染が生じて骨髄炎や化膿性関節炎にまで至ると切断のリスクとなる. そのため, 変形と拘縮の強い症例ではフットケアの観点からも手術治療は重要な役割を担っていると考えられる. 本稿では, 外反母趾患者の外側趾病変に対する治療について概説する.