2025 年 6 巻 3 号 p. 129-134
麻痺性足部疾患は, 中枢神経系または末梢神経系の障害により足部に変形が生じた状態である. これらの疾患では, 筋力のバランスが崩れることにより足関節および足部に内反尖足, 凹足, 屈趾変形などの多様な変形が生じる. 麻痺性足部疾患の診療にあたっては, 変形の病態を正確に理解し, 個々の病態に応じた治療戦略を立てることが重要である. 麻痺性足部疾患に対する治療の目標は, 機能的肢位の獲得と保持である. そのためにリハビリテーション, 装具治療, 手術加療が組み合わせて行われる. また麻痺性足部疾患では胼胝や潰瘍などの足部病変が生じるリスクが高いため, フットケアは極めて重要な位置を占める. フットケアの実践にあたっては, 多職種が連携し, チームとして継続的に関与することが, 足部病変の予防, 早期発見および適切な介入を行ううえで重要である.