頭頸部外科
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原著
耳前部より総頸動脈分岐間を通り,下咽頭に穿通した杙創の1例
佐藤 宏樹小川 武則志賀 清人大島 猛史小林 俊光
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2010 年 20 巻 2 号 p. 135-139

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抄録
転倒による耳前部より下咽頭に穿通した杙創で辛うじて頸動脈損傷を回避した1例を報告する。症例は51歳男性。剪定中に脚立から転倒し,左耳前部より木片が突き刺さった状態で当院に紹介された。CTでは,木片は左総頸動脈近傍を通り下咽頭近傍に至る像を呈していたが,当院での2回目のCTで患側深頸部から対側頸部・上縦隔に及ぶ増悪する気腫を認め,下咽頭の穿孔を疑った。同日緊急手術を施行し,手術所見では,木片は先端が鈍な約13.5cmの枝で左総頸動脈分岐部間を通り咽頭左外側壁を損傷し穿孔していた。頭頸部杙創は稀であるが,重要血管との関係,咽喉頭損傷の評価に経時的なCT評価が有用であったと考えられた。
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© 2010 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
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