抄録
ブドウ葉において Rhizobium vitis への抵抗性反応時に特異的に発現する遺伝子を探索する目的で,擬陽性クローンの出現を最小化するアニーリングコントロールプライマー(ACP)を用いた新規の RT-PCR を適用した.20 種の ACP を用い,病原菌感染時と非感染時で異なる発現を示す遺伝子(DEG)として 31 遺伝子を同定し,それらの塩基配列を決定した.BLAST 検索の結果,それらのうち 27 遺伝子は既知のものであった.その中の 6 遺伝子を選び,R. vitis 感染により特異的な発現を示すかを確認する目的で,半定量的 RT-PCR 解析を行った.得られた結果から,ACP 法はブドウにおける病害抵抗性特異的遺伝子の同定に有効な手法であることが示唆された.今後,病害抵抗発現の分子機構の解明のため,得られた DEG の解析を進めていく.