Journal of the Japanese Society for Horticultural Science
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原著論文
自家不和合性遺伝子および SSR マーカー解析によるニホンナシ 55 品種の来歴の確認
澤村 豊高田 教臣山本 俊哉齋藤 寿広木村 鉄也壽 和夫
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2008 年 77 巻 4 号 p. 364-373

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抄録

交雑により育成されたニホンナシ 47 品種,枝変わり由来の 6 品種,自然交雑実生とされる 2 品種を含む計 55 品種に関して 18 種の SSR および自家不和合性(S)遺伝子座の調査から来歴の確認を行った.47 の交雑品種のうち 37 品種は S および SSR allele の遺伝において報告される親品種と矛盾が無いため,親子関係が確認された.一方,‘喜水’,‘丹沢’,‘新高’,‘青竜’,‘あけみず’,‘愛宕’,‘越後錦’,‘石井早生’,‘秋水’そして‘八千代’の 10 品種は 3 以上の遺伝子座で矛盾がみられるために報告される来歴で無いと判定した.さらに‘百枝月’は‘新高’の,‘三光’は‘幸水’の枝変わりと報告されるが,それぞれ元の品種と遺伝子型が異なるために枝変わりで無いと判定した.‘新興’と‘吉香’は自然交雑実生のため来歴は明らかでないが,‘新興’は‘二十世紀’と‘天の川’の交雑実生,‘吉香’は‘二十世紀’と‘長十郎’の交雑実生と仮定したとき S 遺伝子型と 18 種すべての SSR 遺伝子型において矛盾が無く,これらの後代であることが強く示唆された.

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© 2008 園芸学会
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