Journal of the Japanese Society for Horticultural Science
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原著論文
アグロバクテリウム感染に先立つ葉切片の前培養と Meropenem を用いたリンゴ(Malus × domestica Borkh.)の形質転換効率の向上
李 積軍小森 貞男佐々木 研耳田 直純松本 省吾和田 雅人副島 淳一伊藤 祐司増田 哲男田中 紀充滋田 徳美渡邉 学壽松木 章
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ジャーナル オープンアクセス

2011 年 80 巻 3 号 p. 244-254

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抄録
多数のリンゴ品種を簡便な方法で効率よく形質転換することを目的に,アグロバクテリウム法による形質転換実験を試みた.実験には葉切片からの直接再分化系を用いた.除菌用抗生物質として,シュート再分化を阻害するセフォタキシム(CTX)の代わりにメロペネム(MEPM)の効果を調査した.その結果,50 mg・L−1 の MEPM は従来使用されている CTX と比較して形質転換効率を大幅に向上させることが判明した.また,形質転換細胞選抜用の抗生物質であるカナマイシン(KM)の効果的な使用方法を把握するために KM の培地への添加時期に関する試験を行った.共存培養終了直後の KM の添加がシュート形成率は低いものの,形質転換細胞の増殖と形質転換シュートの誘導のために効果的であった.これらの試験によって得られた知見をもとに,Agrobacterium 感染前の葉切をシュート再分化培地に数日間置床する前培養処理を試みた.その結果,3 から 7 日間の前培養によって,前培養を行わない場合と比較して形質転換効率が向上した.MEPM と前培養処理の併用によって複雑な手順無しでも‘Greensleves’の形質転換効率を約 5%に向上させることに成功した.
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© 2011 園芸学会
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