抄録
1. 1959~1960年の2年間,モモ・カエデ・カンキツを材料として,実生当年生台木に緑枝接を行なうことによる苗木養成期間短縮の可能性を検討した。
2.モモでは,1年間で十分りつばな苗木が養成でき,育苗期間短縮の目的が達せられた。カエデ カンキツについては,接木活着後さらに1年間の養成が必要であつたが,管理いかんによつては同様短縮の可能性が認められた。
3. 1960年にモモ カエデを材料として,新梢の接木部位と活着率および伸長量との関係を調査した。
4.台木の部位については,尖端部から基部に向うほど活着率が低下する傾向があるが,その差はあまり大きくなく,年内伸長量はかえつて基部に接いだ場合のほうが大であつた。穂木では,新梢の尖端に近い部分を接いだ場合ほど,いちじるしく活着率が高いが,年内伸長量には有意の差は認められなかつた。
5. 1960年にモモ・カエデ ツバキについて,新梢の含水率と緑枝接の活着率との関係を調査した。この実験の範囲で見られた台木と穂木の含水率の範囲では,台および穂の含水率ならびに両者の差は,活着率に影響はないと認められた。