園芸学会雑誌
Online ISSN : 1880-358X
Print ISSN : 0013-7626
ISSN-L : 0013-7626
30 巻, 4 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 花の形態,性比および第2次性徴について
    今津 正, 藤下 典之
    1961 年 30 巻 4 号 p. 291-298_2
    発行日: 1961/12/31
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本邦各地から集めた栽培および野生フキについて,株の性表現,性比,第2次性徴を調べ,性を中心に栽培フキと野生フキとの関係を考察した。
    1.フキは雄しべのない単性雌型の小花をつける雌株および,雄しべと退化した子房をもつた両性型の小花をつける雄株とからなり,株の性は小花や花穂の形態で容易に区別できた。
    2.雌・雄株のそれぞれの性表現は環境や株の充実度・年令などによつそ変らず,間性体などの性表現の異常な個体はほとんどでないから,その性は分化の進んだ安定したものと考えられる。
    3.性表現のうちで栽培フキと野生フキの最も大きな違いを示したのは性比で,野生フキでは採集株でも実生後代の分離比でも1:1に近い割合を示した。ところが栽培フキの“愛知早生ブキ”は雌株ばかりで雄株がなく“水ブキ”や栽培“アキタ大ブキ”では雄株の混ざつている畑もあつたが,大部分が雌株で性比はいちじるしく一方にかたよつていた。
    4.萠芽や開花期,草勢,葉や花蕾の大きさなどに雌雄による差は認められなかった。
    5.栽培フキに雄株の少ないのは,山野から最初に畑に移された野生フキがたまたま全部雌株であつたか,あるいは雌株のしめる割合の高いものであつて,以後今日まで同じ栄養系の分割増殖が繰返されてきたのであろう。
  • 自然状態におけるニラ実生苗の分蘗について
    八鍬 利郎
    1961 年 30 巻 4 号 p. 299-310
    発行日: 1961/12/31
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    1957, '58の両年にわたつてニラの分蘖機構ならびに様式について観察した。その結果の大要はつぎのごとくである。
    1.分蘖芽の形成から分蘖完成までの発育過程は,2に述べる葉序方向において異なる他はネギの場合とまつたく同様である。すなわち,分蘖が第n葉の葉腋から生じた場合,1/nn+1とn+2の中間の発育過程にあり,2/nn+2とn+3の中間の発育度にあるのが普通である。
    2.ニラの分蘖第2葉は親株の葉序面上,分蘖第1葉の親株と反対側に生ずる。したがつて形成初期は両株の葉序面は理論上合致することになる。これは最初90°の角度をもつて生ずるネギの場合と比較して興味のある相違点である。しかして,その後ネギのごとき一定の規則性はみられず分蘖と親株はともに不規則に葉序方向の転移を行なう。したがつて分蘖の配列は一直線上(最初の親株の葉序面上)からくずれてゆき,結果的にはネギの場合と同様に円形または楕円形の集団に広がつてゆく。
    3. 1958年5月3日に播種した大葉ニラについての調査では,I次1号分蘖は7月中旬に外観的に出現し,この時期から9月下旬までは引続いて分蘖が行なおれ葉数も増加するが,9月末期に至つて急激に生育が衰え,10月にはほとんど発育が停止した。全生育期間に生じた1個体平均分蘖数23.6,発生葉数は150.5であつた。
    4.露地栽培における実生苗のI次1号分蘖の発生節位は第6ないし7節で,その発生頻度は第6節71.4%,第7節28.6%であつた。II次以後の1号分蘖が発生する節は,そあ親に当たる株の第2~6節の範囲内にあつたが,その50%以上は第4節であつた。
    2号以後の分蘖発生節を総括的にみるに,1節目,すなわち前号分蘖に引続いて生じた例は比較的稀で,2節目に当たる場合が最も多かつた。その平均発生率は,I次の2~8号分蘖の平均で77.0%,II次2~5号の平均で89.1%である。
    5.以上3,4の成績は露地に栽培した生育良好な場合の調査結果であるが,分蘖の発生節位は高温その他環愛の変化によつて,より高位にはかなり動きやすい。しかしより低位にさげることは困難なように思われる。
    6.ニラの花房分化および花茎側芽の形成機構は他のネギ類とほとんど同様であるが,花房分化期は他のネギ類と異なり,6月中旬以後の比較的高温期に当たる。したがつて花房の分化後は引続いて発育が進み,8月上中旬に開花が始まる。小花の開花順位は1花球の周縁部から始まつて中心部におよぶ。
    7.花茎側芽は原則として1花茎の基部に1個のみ生ずるもので,花房分化時におけるニラの分枝型は単軸性仮軸分枝型と解される。換言すれば,花茎側芽は生殖生長期における次代の栄養生長を存続するために役立たつもので,分蘖的意義は薄く,株数を増加する分蘖はすべて栄養期における最終葉以外の葉の葉腋に生ずる分蘖芽によつてのみ行なわれるものと結論しうる。
    8.異常葉および異常分蘖の例はネギに比してきわめて少なく,分蘖の発育不良による分蘖出現の遅延現象が少例観察された程度である。
  • Self-inhibitorの単離
    安芸 精一, 渡辺 正一
    1961 年 30 巻 4 号 p. 311-317
    発行日: 1961/12/31
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    金時ニンジン種子の発芽不良の原因の一つとして,さきに渡辺・安芸(35)は種子のエーテルおよびエタノール抽出物中に発芽抑制物質の存在を予告したが,著者らはさらにこの分離を計画した結果,安芸によつて金時ニンジン種子の発芽不良をおこすに充分な発芽抑制物質の単離に成功した。
    1.金時ニンジン種子をデシケーター中で充分に乾燥後,粉砕し,同一試料をエーテル,エタノール,熱水の順で抽出した結果,発芽抑制はエーテル抽出区分,エタノール,水可溶区分,熱水抽出区分の3区分に分別され,特にエーテル抽出区分の発芽抑制力は3区分中最も強力であつた。
    2.エーテル抽出物を硫酸々性(pH2.0)とし,エール層を4%NaOH水溶液添加後振〓して,エーテル可溶の中性区分をさらにアセトン:水(95:5v/v)を加えて5°Cに3日間放置すると大量の結晶が形成される。そうしてこの結晶をろ紙でろ過後,ろ液の溶媒を溜去して,ケイ酸カラムに展開するとn-ヘキサン,15%ベンゾール含有のヘキサン,5%エーテル含有のn-ヘキサンでは溶出されず,抑制物質は90%エーテル含有のヘキサンで溶出された。本区分の溶媒を溜去した後,活性と不活性(4:5w/w)の混合アルミナカラムに展開したところ,20%エーテル含有の石油エーテルで溶出された。本溶出区分はほとんど無色であつた。さらに本抑制区分をアセトン メタノール(80:20v/v)の溶媒中に2日間,0°Cに放置して,結晶をろ別し,ろ液の溶媒をとばした後,減圧下で水蒸気蒸溜を行なつた。溜液区分はさらにエーテルを添加後振〓して,抑制物質をエーテル層に移行せしめ,エーテルをとばし,濃縮物を再び活性と不活性(4:5w/w)の混合アルミナカラムに展開すると,抑制物質は5%エーテル含有の石油エーテルで溶出された。本溶出区分は無色油状体で,-10°Cに2日間放置すると本区分の全部が結晶して純粋な発芽抑制物質ができる。融点は2~3°Cである。
    3.本抑制物質は石油エーテル,n-ヘキサン,ベンゾール,エーテル,アセトン,メタノール,クロロホルムおよび二硫化炭素に易溶で,冷水には不溶である。舌で味わつてみると舌を強くさすような感じでかつ苦味があり,特有の芳香を有する。キサントゲン酸アルカリ反応(+)で,濃硫酸では暗紅色を呈し,0.2%過マンガン酸カリウムでは茶褐色となる。ジアゾ化ベンチジン反応は(-)で,NおよびSの検出(-)であつた。赤外部吸収スペクトルの結果は芳香環,アルコール性OH基,2重結合の存在を示した。メタノール:石油エーテル:水(4:5:1v/v)の下層を溶媒とする1次元上昇法,によるペーパークロマトグラフイの結果,Rf 0.85のスポットが得られた。紫外部吸収スペクトルの結果,吸収の最大は258mμであつた。分子式はC18H30O3である。
    4.単離された抑制物質はニンジンおよびレタス種子で4000倍,ハクサイ種子では500倍で発芽を抑制した。
    5.本実験でえられた結晶体は未知の抑制物質と思われるので“Carrotol”と命名したい。
    (なお,本報告中赤外部吸収スペクトルの分析および解読は,京都大学農学部農薬化学研究室の熊沢喜三郎助教授に御願いしたもので,深く謝意を表する)。
  • 中部地方北西部のカブ在来品種の類縁関係と地理的分布
    青葉 高
    1961 年 30 巻 4 号 p. 318-324
    発行日: 1961/12/31
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    東日本に分布する洋種系カブ在来品種の西側の分布限界を確めるため,中部地方北西部の在来品種を集め諸形質を調査検討した。
    1.試料34点中A型種皮型品種は9点に過ぎず大部分B型因子をもつ品種であつた。また日本海沿岸の6点以外の品種はすべて葉に毛茸を生じ,これら在来品種の大多数は洋種系ないし洋種系因子をもつ品種と認められた。
    2.根形は球形,円錐形の品種が多く長円錐形のものも見られた。
    根色は紅,紫赤および地上部のみ緑色,紫赤色の品種が大多数をしめ,白色品種は3点にすぎなかつた。
    3.これら在来品種は一般に晩抽性で,耐寒性は強いように観察されたがウイルス病には侵されやすい。
    4.これらの諸形質ならびに分布地域からみて調査品種は5群に分類された。
    5。洋種系品種のもつ優性形質は京都府北部—滋賀県北部—滋賀,岐阜県境の線以東に見られ,和種系品種の優性形質であるA型種皮は福井県中部—岐阜県西部—同南部の線以西に見いたされた。
    6.以上の点からこれら品種の類縁関係,ならびにこのような地理的分布の生じた理由について若干の考察を行なつた。
  • 種子の発育と発芽率の関係
    小川 勉
    1961 年 30 巻 4 号 p. 325-333
    発行日: 1961/12/31
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    開花実止まり後,種子の形成途上における病害が,種子の形成ないし発芽に大きい影響をおよぼすと思われるので,胚や胚乳の発育経過,種子の比重,胚や胚乳の重量などと発芽率,発芽勢などの関係をあきらかにした。
    1.種子の新鮮重の変化:開花後7日頃より15日頃にかけて急速に増加し,20~30日の間に最高の8mgに達したが,漸次乾燥して40日目頃には4mg内外となつた。
    2.胚乳の新鮮重7~15日日にかけて急増し,その後10日間は増加が少なく,25~30日日の間に再び急増し,最高の5~5.5mgになつた。
    胚乳の状態は15日頃より徐々に不透明,粘液状となり,20日過ぎより糊状,30日頃より固まり,乾燥し45日頃に3.5~4mgとなつた。
    3.胚の形化:10日頃より急速に肥大し,15同頃より伸長が盛んとなり,20日頃に半分,25日頃にほぼ形態的にも,重量的にも最大に達し,40日頃に長さ5~5.5mm,重さ0.9~0.95mgとなつた。
    4.発芽率:1花球当たり20~50花に摘花したものや高温期に開花,生育して発育の進んだ種子は14日位で発芽し始め,発育のおくれた種子は18~20日位から発芽し始めた。
    発芽率は胚の発育とともに急上昇し,25日頃には30%にも達したが,発芽勢は4~5日おくれ,胚乳の充実とほぼ同時に上昇し,30日頃に至つて80%に達した。
    5.種子の比重と発芽率の関係:種子の比重が1.086(胚重0.75mg,胚乳重3mg)以上では80%以上を示したが,それ以下では急激に低下した。
    胚は形態的にみて,かなり軽い比重(1.015~1.034)でも正常なものが多いが,胚乳は1.086以下ではほとんど正常でなく,発芽率の変化は胚乳重の増減と密接に関連していた。
  • 土壌の変化について
    坂本 辰馬, 奥地 進, 薬師寺 清司
    1961 年 30 巻 4 号 p. 334-340
    発行日: 1961/12/31
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    温州ミカン成木の収量および樹の生育にいちじるしい差をもたらした13~15年間にわたる施用量を異にした緑肥連用土壌の調査分析よりつぎの結果をえた。
    1.試験地土壌の深さ40cm以下は粘土盤層となり,40cmまでの土壌の範囲内では,緑肥多量区ほど細根の分布は深かつた。
    2.緑肥多量区土壌(緑肥50~75%以上)は孔隙に富み,水分保持が増大し,団粒の発達が顕著に認められた。
    3.緑肥多量区土壌の深さ15~20cmまでは腐植および全窒素含量が高く,土壌の酸性化は緩漫または減少方向への変化を示した。
    4. 3.と同様に緑肥多量区土壌には塩基置換容量の増大が認められ,置換性塩基とくに石灰および苦土に富んでいた。
    5.以上のような緑肥連用およびその施用量の相違による土壌の物理性ならびに化学性の変化と緑肥そのものの養分効果が温州ミカンの収量および樹の生育などに顕著な差をもたらし,緑肥100%区〓緑肥75%区⟩⟩緑肥50%区⟩⟩緑肥25%区〓緑肥0%区のような効果順位を示した。
  • 生理的落果の波相と2,3の要因について
    海老原 武士, 青木 秋広, 坂本 秀之
    1961 年 30 巻 4 号 p. 341-346
    発行日: 1961/12/31
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    1957~1960年に銀寄,大正早生,笠原早生,赤中,大駒および八朔の6品種を供試して生理的落果の波相とそれに関連した2, 3の要因について調査ならびに実験を行なつた。
    1.生理的落果の波相は7月下旬~8月上旬を境とした2つの波相に分けることができ,前者を早期落果と呼び,後者を後期落果と呼ぶこととする。
    2.早期落果は品種によつて激しくおこるものとほとんどおこらないものがあり,銀寄は特異的に多く,雌花数の41.2%に達する場合もあつたが,その他の品種は0.8~6.2%できわめて少なかつた。
    3.早期落果は開花後間もなく始まつて,純雄花穂の落下に続いて最も激しくおこり,7月下旬に終る。後期落果は8月上旬に始まつて8月下旬でほとんど終る。
    4.銀寄の早期落果は授粉とは関係なくおこるもので,結果母枝および結果枝の弱小なもの,開花のおくれたものに多く,落果したものは落果しないものに比してきゆう果の発育が劣つていた。
    5.銀寄の早期落果は6月下旬~7月上旬の日照条件とかなり密接な関係があるようである。
    6.後期落果は大部分(70~95%)が不受精によるものであつた。
  • Bitter pitの発生におよぼすCa欠除の影響
    山崎 利彦, 森 英男
    1961 年 30 巻 4 号 p. 347-350
    発行日: 1961/12/31
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    Caの欠乏とbitter pitの関係について,国光を使用して水耕法で試験を行なつた。2年間の欠乏処理でbitter pitの発生は100%に達した。
    CaおよびMgの欠乏とbitter pitの関係は紅玉を用いて行なつた。1年間の処理でCa欠乏樹のbitter pitはきわめて増大したが,Mg欠乏区の発生はきわめて少なかつた。
  • モモ, ナミ, ブドウおよびカキの休眠の完了に必要な低温量
    吉村 不二男
    1961 年 30 巻 4 号 p. 351-356
    発行日: 1961/12/31
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    1.本実験はモモ(岡山早生),ナシ(八雲),ブドウ(デラウエア)およびカキ(平核無)について,冬季の休眠完了に必要な低温要求量を比較するために行なつた。すなわち,1956年11月20日から1957年1月27日までの間6~11°Cの準備室においた材料を,1月20日から逆算して種々の期間(5~40日), -1~0°Cおよび-7°Cの低温に人為的にあわせ, 1月28日から18~21°Cに加温した場合の発芽および新梢の伸長状況を観察した。
    2.その結果,処理温度が-1~0°Cの場合には, 1月20日から逆算して,モモには25~30日,ナシには25日,ブドウには20~25日,カキには5~10日の低温処理が,最も多数の芽を早期に揃つて発芽させ,しかも新梢の伸長をいちじるしく促がし,この傾向は特に頂部のものではなはだしかつた。しかし,処理温変が-7°Cになると,枝梢や芽の凍死するものが多く,モモやナシではたとえ発芽が促進されても,その後に新梢の伸長が抑えられ,ブドウやカキでは発芽,伸長共に不良で,処理の効果が十分に認められなかつた。
    3.ナシやブドウ,カキでは低温(-1~0°C)処理のいかんにかかわらず,つねに樹冠上位の芽の伸長量が樹冠中下位の芽の伸長量より優れたが,モモでは無処理の場合にこの関係が逆であつた。また,低温処理によつて,4種とも樹冠上位の芽の伸長がより優れたが,その低温処理の効果はモモにおいて最も大であつた。このことはモモの低温要求量がナシやブドウ,カキよりも多いために樹冠上位の芽が休眠を完了しえないためと思われる。
    4.高知の海岸地帯では,モモには展芽開花の遅滞不揃い,生育不振,叢生化現象が,ナシには展芽開花の遅滞不揃いが見られるが,ブドウやカキには異常が認められない。このことはこれら4種の低温要求量の差を示すものと思われ,この地方の冬季の気温がモモやナシにとつて,やや高過ぎると思われる。
  • 培養液の反応とブドウ樹の生育について
    広 保正
    1961 年 30 巻 4 号 p. 357-360
    発行日: 1961/12/31
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    ブドウ樹の生育と反応との関係を砂耕法,および水耕法で試験した。その結果の概要はつぎのごとくである。
    1. NO3-NとNH4-Nを含む培養液で,試験の結果はpH4からpH8の間では生育,収量に像とんど差がないが,pH7およびpH8は鉄,マンガンの含量が低くなる傾向がみられた。
    2. (NH4)2SO4を窒素源に用いたときはpH6,pH7およびpH8,NaNO3を窒素源に用いたときは,pH4およびpH5が生育が良好であつた。
    この研究は株式会祉寿屋・葡萄研究所長寺見広雄博士の御指導によつてなされたもので,千葉大学園芸学部吉江修司博士,京都大学教授小林 章博士から御教示,御助言をいただいた。ここに衷心より謝意を表する。
  • 緑枝接による接木苗の育苗期間の短縮について
    庵原 遜, 玉利 幸次郎
    1961 年 30 巻 4 号 p. 361-365
    発行日: 1961/12/31
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    1. 1959~1960年の2年間,モモ・カエデ・カンキツを材料として,実生当年生台木に緑枝接を行なうことによる苗木養成期間短縮の可能性を検討した。
    2.モモでは,1年間で十分りつばな苗木が養成でき,育苗期間短縮の目的が達せられた。カエデ カンキツについては,接木活着後さらに1年間の養成が必要であつたが,管理いかんによつては同様短縮の可能性が認められた。
    3. 1960年にモモ カエデを材料として,新梢の接木部位と活着率および伸長量との関係を調査した。
    4.台木の部位については,尖端部から基部に向うほど活着率が低下する傾向があるが,その差はあまり大きくなく,年内伸長量はかえつて基部に接いだ場合のほうが大であつた。穂木では,新梢の尖端に近い部分を接いだ場合ほど,いちじるしく活着率が高いが,年内伸長量には有意の差は認められなかつた。
    5. 1960年にモモ・カエデ ツバキについて,新梢の含水率と緑枝接の活着率との関係を調査した。この実験の範囲で見られた台木と穂木の含水率の範囲では,台および穂の含水率ならびに両者の差は,活着率に影響はないと認められた。
  • 土壌湿度がグラジオラスの生育,開花ならびにBlind発生におよぼす影響について
    小杉 清, 近藤 勝
    1961 年 30 巻 4 号 p. 366-370
    発行日: 1961/12/31
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    1.土壌の乾燥とグラジオラスのblind発生との関係を知ろうとして,1959年に3つの実験を行なつた。
    2.第1の実験は灌水間隔を変えることによつて,どの程度の乾燥と湿潤が繰返された場合にblindが発生するかを知ろうとしたもので,実験の結果は土壌湿度平均36.5%以上で灌水が行なわれた場合にはbiindは発生しなかつたが,22.5%以下に低下された場合にはblindが発生した。
    3.第2の実験は連続した乾燥が与えられた場合,どの程度の乾燥によつて花芽が枯死するかを調べたものであるが,この場合には葉が枯死する以前に生長点の枯死は認められなかつた。
    4.第3の実験は,発育段階を異にした場合の乾燥に対する抵抗力を調べたものであるが,発育段階の進んだものほど抵抗力が少なかつた。
    5.以上3つの実験のいずれにおいても,乾燥によつて発育が停止または遅延したので,秋植の場合には日長の影響を受けて,2次的にblindが発生する可能性がある。
    6.乾燥によつて根の発達が阻害されるので,土壌からの養水分の吸収が妨げられ,葉による同化作用も低下するので栄養障害によるblind発生の可能性もおこつてくる。
  • 藤井 利重, 町田 英夫
    1961 年 30 巻 4 号 p. 371-376
    発行日: 1961/12/31
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    1.ファン・アンド・パッド方式によるガラス室内の温度を調査した。
    2.本邦における気象条件で, 3~5°Cの冷却効果を認めることができる。
    3.ガラス面を通過する熱線をヨシズでさえぎれば冷却効果は増進する。
    4.冷房室内の冷却空気は地面にそつて流れるので,本冷房ガラス室内の温度は地面より,パッドの高さまでしか冷却されなかつた。
    5.パッドの充填物は木毛の方が吸湿牲のないサランロックより冷却効果は大である。
    6.冷却効果は関係湿度の影響が甚大である。
feedback
Top