園芸学会雑誌
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ユズ台およびカラタチ台温州ミカンの生育ならびに果実の収量と品質に及ぼすりん酸施肥の影響
安達 義正中島 芳和堀金 正已
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1966 年 35 巻 2 号 p. 98-105

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抄録
1. 1958年3月, 2年生のユズ台, カラタチ台温州ミカンをコンクリートわくに栽植し, 同年は100ppmのりん酸を含む液肥で栽培し, 翌年3月からりん酸施肥量を変えて樹体の生育, 果実収量, 品質および葉内無機成分含量に及ぼす影響を検討した。
2. 樹体の生育は1959年から1963年の4か年平均でりん酸施肥の効果を示さなかつた。一方りん酸を含む液肥を前もつて与えなかつた温州ミカン幼樹の生育はりん酸施肥によつてかなり促進された。
3. 果実収量, 果汁内可溶性固形物含量および葉内無機成分含量は, 1960年から1963年の3か年平均でりん酸処理の影響を示さなかつた。果汁ちゆうの酸については1960年から1963年の3か年平均および1962年度でりん酸処理による減酸効果が顕著であつた。
4. りん酸施肥によつて果皮の着色を阻害する傾向がみられた。
5. カラタチ台温州ミカン幼樹はユズ台温州ミカン幼樹に比べて果実収量, 果汁内可溶性固形物含量が高かつた。
6. カラタチ台の果実は大きいものほど可溶性固形物含量が低かつたが, ユズ台のりん酸等量施肥区 (P2O5/N=1) では逆の傾向を示した。果汁の酸含量と可溶性固形物含量の相関関係は無りん酸区でカラタチ台とユズ台とが反対になつた。
7. ユズ台の温州ミカン幼樹は同じ台木の成木に比べて樹勢が劣るように思われた。
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