抄録
キャベツ (長岡交配早秋) を4段階のMg濃度 (0, 5, 25, 125ppm) とCa濃度 (4, 20, 100, 500ppm)の組 合わせによる16種類の水耕液で栽培し, これら要素供給量がキャベツの生育におよぼす影響を調査した.
全乾物重および球葉の乾物重は水耕液中のMg濃度の増加により, 水耕液中のCa濃度が高い場合は直線的に上昇し, 低い場合には上昇した後高濃度で低下した. 植物体のMgあるいはCa含有率は水耕液中のそれぞれの要素濃度の増加により上昇し, 他方の要素濃度の増加により低下した. Mg, Ca含有率が高い植物はそれぞれCa, Mg欠乏障害に陥りやすく, また全乾物重が低下するときの限界Mg, Ca含有率は外葉でそれぞれ0.1, 1.3% (乾物当り) であった.
これらのことより, キャベツの良好な生育のためには, MgおよびCa含有率が適当であるばかりでなく,Ca/Mg含有率比も適当な範囲にあることが望ましいと考えられる.