抄録
ウメ果実の樹上成熟と収穫後の成熟特性を, 内果皮の硬化期から完熟期まで調査した. 収穫果実は20°Cの恒温室で成熟させた.炭酸ガス排出量は, 樹上成熟及び収穫後の成熟いずれの場合も, クライマクテリック型の変化を示した. 収穫果実では, 収穫時期が遅くなるほどクライマクテリックライズの開始時期が早くなり, 炭酸ガス排出量も高くなる傾向がみられた.
エチレン発生量は, 樹上では黄化始めまでは0.1μlkg•h以下であったが, その後は急増して完熟期には500μl/kg•h以上になった. 収穫果実でも, エチレン発生量は成熟中に増加したが, 収穫時期が遅い果実ほど発生の開始時期と量が促進される傾向がみられた.
アブシジン酸含量は, 樹上では黄化が始まると急速に増加した. 収穫後も成熟とともにある程度まで増加して, その後は減少する傾向がすべての果実で認められた. しかし, 収穫後の増加は樹上での成熟に比べると量的にかなり少なかった.
樹上成熟に伴なって果実中のシュークロース, フラクトース, グルコース及びソルビトール含量は増加した. シュークロース含量は収穫後も成熟とともにある程度増加する傾向がみられたが, その他の糖はすべて減少した.
滴定酸含量は, 樹上での全期間を通じて大きく変化しなかったが, 組成別にはクエン酸含量は完熟期まで増加を続け, 逆にリンゴ酸含量は減少し続けた. クエン酸含量は収穫後もある程度まで増加し, リンゴ酸含量は減少し続ける傾向がみられた.
以上のことから, ウメ果実の成熟に対する内的条件は, 内果皮の硬化完了時点ですでに完成されていると思われる. したがって, この時点以降は収穫果実でも樹上の場合とほぼ同質の成熟現象が誘起されるが, 樹上での熟度が進んだものほど追熟の進行は急速であるように思われた.