園芸学会雑誌
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醸造用ブドウ果実の揮発性成分
清水 純一渡辺 正澄
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1981 年 50 巻 3 号 p. 386-392

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抄録

本研究は, 我国で栽培されている主要な醸造用ブドウの品種特性とその優位性を知るために, ブドウ果汁の揮発性成分を検討した.
1) ブドウ果汁の揮発性成分の捕集方法, 溶媒による抽出, 減圧濃縮およびガスクロマトグラフによる成分の分離, 同定および定量方法を確立した.
2) 供試した11品種のブドウ果汁の揮発性成分を比較した結果, 白ワイン用品種では, ‘リースリング’,‘シャルドネ’の順で多く, 赤ワイン用品種では, ‘カベルネソービニヨン’, ‘メルロー’の順で多かった.
3) 上述の品種は, ‘甲州’や‘善光寺’種に比較してC6-化合物やエステル, アルコール類の含有量が多く, 特にエルテル類が多かった. また, それぞれの品種間には揮発性成分の組成に特徴が認められた.
4) 供試した品種に共通して多く含有される成分は, iso-butanol, iso-pentanol, trans-2-hexenal, n-hexanol, trans-2-hexenol および2-phenylethanolなどであり, 特にC6-化合物は顕著であった.
5) linalool は‘リースリング’に比較的多く検出された. methyl anthranilate はいずれの品種においても検出されなかった.
6) C6-化合物はいずれの品種においても多量に検出され, trans-2-hexenal, n-hexanol, trans-2-hexenol の順で多かった.
7) 揮発性成分と糖分および総酸の関係は一定の傾向が認められなかった.

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