園芸学会雑誌
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果実の大きさ, 摘葉処理, ジベレリン散布及び産地の違いがカキ‘平核無’果実の脱渋性に及ぼす影響
平 智阿部 喜至夫大井 欣哉渡部 俊三
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1990 年 59 巻 2 号 p. 299-305

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抄録

カキ‘平核無’果実をアルコール脱渋する際の脱渋性に及ぼす果実の大きさ, 摘葉処理, 収穫前のGA散布及び産地の違いの影響を調査した. 脱渋処理は小型のポリ容器を用いて20°Cで果実ごと個別に行った.
1. 果重当たりの脱渋剤の量が一定のとき, 小果は大果に比べて脱渋しにくかった. これは, 果実内に生成するアセトアルデヒドの量が小果でやや少ないことに関連があると考えられた.
2. 摘葉処理によって果実の着色は早まったが, 脱渋処理中の果肉硬度の低下が促進された. 脱渋速度に対する摘葉処理の影響は小さかった.
3. 収穫3日前のGA散布処理は果実の脱渋性には何ら影響を及ぼさなかったが, 脱渋後の貯蔵性を増大させる効果が認められた.
4. 全国5~6産地の果実を集めて脱渋性を比較したところ, あまり顕著な差ではないが, 温暖な産地の果実ほど脱渋しやすく, かつ脱渋中に軟化しやすい傾向が認められた. この傾向は調査を行った2年間に共通していた.

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