園芸学会雑誌
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ウンシュウミカン果実のクロロフィリドα分解酵素(H2O2-DCP要求性)
下川 敬之内田 好則
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1992 年 61 巻 1 号 p. 175-181

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抄録
エチレン処理したウンシュウミカン果実の果皮より調製した粗酵素液中に, クロロフィリドaを分解する酵素が存在することを明らかにした. 本研究では, この酵素反応について, 次のことを明らかにした. この酵素反応には1) H2O2とDCPが必要であること, 2)シアン, チロン, ヒドロキノンで阻害され, 2,5-ジメチルフランで阻害されないこと, 3) 至適pHは62であること, 4) タンパク質量に対する反応量は直線的であること, 5) Km値がほぼ20μMであること. これらの値と性質は, この酵素が生体内で作用していることを示している. また, クロロフィリドa分解酵素の性化には, タンパク質合成阻害剤のシクロヘキシミドの影響を受けないことがわかった. さらに, 反応液の可視部でのスペクトルの変化, 特に, 経時的な波長のシフトから, クロロフィリドaはフェオ化合物など,人間の視覚に感じにくい物質に変化しながら, 無色の物質にまで変化するものと推論した.
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