園芸学会雑誌
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リンゴ園における長期窒素施肥の生育, 収量および果実品質に及ぼす影響
駒村 研三壽松木 章福元 將志加藤 公道佐藤 雄夫
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2000 年 69 巻 5 号 p. 617-623

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抄録
マルバカイドウ台リンゴ'紅玉'樹の生長および果実生産に対する窒素施用の影響を, 草生ほ場に-N(無施用), 1N(5kg・10a-1), 2N(10kg・10a-1), 4N(20kg・10a-1)の4処理区を設け, 10∿32年生の23年間にわたり解析した.窒素施用の影響は, 幹周やせん定枝量では5年目以降で差がみられ, 4N区が明らかに優った.葉中窒素含有率は窒素施用量が多いほど高く, 処理開始3年目から差がみられ, 試験後半には全処理区間で有意差がみられた.果実生産に対する窒素施用の影響は, 品質で大きく, 収量にはほとんどの年次で処理間差がなかった.一方, 窒素施用量が多いほど着色不良な果実が多く, また着色不良果は着色良果と比較し糖度および果肉硬度が低かった.以上の結果, 窒素の多量施用は樹体生長を旺盛にするものの果実品質では負の影響が大きく, 当リンゴ園土壌では10a当たり10kg以下が適正窒素施用量であるとみなされた.また, 土壌の肥沃度によっては窒素肥料無施用でもリンゴ樹の生育と果実生産が長期にわたり維持できることが明らかとなった.
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