日本繁殖生物学会 講演要旨集
第98回日本繁殖生物学会大会
セッションID: 134
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精子・精巣生理
ブタ精原細胞に特異的なモノクローナル抗体の作出
*土屋 一穂團栗 亜輝人帆刈 優嶋田 祥子杉本 亮濱野 光市保科 和夫高木 優二
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抄録
【目的】精原細胞に関する研究はこれまでマウスを中心になされ,現在までに様々ことが明らかにされてきた。しかし,マウス以外の動物種,特にブタでの精原細胞に関する研究は,精子形成の分化ステージに特異的なマーカーが無い為にあまり研究がなされていない。そこで,本研究ではブタの精原細胞や精母細胞など精子形成を担う細胞に特異的なモノクローナル抗体の作出を試みたので報告する。【方法】未成熟ブタの精巣をコラゲナーゼ液中にて分散させ細胞懸濁液を得た。得られた細胞をBALB/c系雌マウスの腹腔に5回免疫し,最終免疫の4日後に脾臓を採取し,マウスミエローマ細胞と融合した。HAT選択培地中で増殖した細胞を,成熟ブタ精巣の組織切片を用いてスクリーニングし,ハイブリドーマ細胞を限界希釈法によりクローニングした。さらに,抗体産生ハイブリドーマを腹腔に投与して腹水を採取した。得られた抗体は,成熟ブタと生後10日齢の未成熟ブタ精巣,胎齢28日のブタ生殖隆起,成熟ラット及び生後1日齢のラット精巣,成熟ハムスター精巣との交差反応をそれぞれ調べた。【結果】成熟ブタの精原細胞の核に特異的に交差する2種類のモノクローナル抗体KZM-2a,KZM-2bが得られた。KZM-2a抗体は成熟ブタの精原細胞の核を特異的に認識し、さらに未成熟ブタ精巣だけでなく胎齢28日のブタ生殖隆起でも陽性であった。また,成熟ラット,成熟ハムスター精巣の精原細胞にも陽性であったが、未成熟ラット精巣では陰性であった。KZM-2b抗体は成熟ブタの精原細胞だけでなく精母細胞の核も認識した。しかし,未成熟ブタ精巣及び胎齢28日のブタ生殖隆起では陰性であった。また,成熟ラット,成熟ハムスター精巣では精原細胞と精母細胞の核に陽性であったが、未成熟ラット精巣では陰性であった。以上、本研究よりブタの精原細胞及び精母細胞の核を特異的に認識する2種類の抗体が得られた。
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© 2005 日本繁殖生物学会
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