園芸学会雑誌
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イチジクの芽の休眠の深さの程度と枝梢内成分の変化
川俣 昌大西田 悦子小原 均大川 克哉松井 弘之
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2002 年 71 巻 2 号 p. 177-182

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抄録
露地栽培の4年生イチジク'桝井ドーフィン'より, 1999年7月下旬から2000年3月上旬にかけて毎月当年生枝を採取し, 1節ごとに切り分けた5, 8, 11, 14, 17および20節目の枝梢を恒温室(25℃, 5klx蛍光灯下)に置いた水床に挿し木し, 20日後における萌芽率および萌芽率80%に達するまでの萌芽所要日数を調査した.また, 同時期に採取した枝梢内の水分, 炭水化物およびABA含量を測定した.全ての節位の萌芽率の平均値は, 11月下旬に約40%と最も低下した.また, 萌芽率は低節位ほど低下する傾向がみられた.水分含量は, 枝梢の発育に伴って漸減し, 萌芽率が最も低下した11月下旬には約60%となった.また, デンプン含量は10月下旬を境に急減し, 全糖含量は増加した.ABA含量は10月下旬に急増した.以上の結果より, イチジクの芽の自発休眠の形態は, 10月初旬∿11月初旬が導入期, 11月下旬頃が最深期および12月中旬∿1月下旬頃が覚醒期であることが明らかとなった.また, 最深期であってもほとんどの節位で萌芽し, 萌芽所要日数が最長で約28日とそれほど長くないことから, 二期作や周年栽培のための加温や枝の切り戻しせん定はいつ行っても支障がないことが明らかとなった.
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