水文・水資源学会誌
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河川等における多点自動環境監視システムに適用可能な通信ネットワークの最適化—遺伝的アルゴリズムの適用—
青田 容明熊谷 道夫
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2004 年 17 巻 6 号 p. 618-626

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抄録
河川や小水路に配置する事を想定した多数の水質自動監視システムに適用する通信経路選定問題について,遺伝的アルゴリズムによる手法を提案し,その有効性を示した.対象となる測定機器は待機と起動の二状態を持ち,無線によってデータの送受信を行うと仮定する.この時,機器の起動から測定データ送信までの一連の処理を効率的に行うためには,処理全体にかかる時間を最小にするための最適な通信経路を選定する必要がある.これは単純な二点間の経路選定問題とは異なり,一般に多点対1点間の処理時間を最小にする経路選定問題となる.また,各監視システムは他から送られた起動要求を受信することで待機から起動状態へと移行し,その後別の機器へ起動要求メッセージを送信する.したがって,全体の処理時間は機器間距離に依存した無線通信の実効速度だけではなく,起動要求データを受け取って下位へ送信する回数,すなわち,ネットワークの階層数にも依存する.本論文では,総処理時間を決める各処理過程を三段階に分け,これをコスト関数として遺伝的アルゴリズムを本問題に適用した.計算には琵琶湖に流入する一級河川の位置データを用いて総時間を評価し,遺伝的アルゴリズムの有効性とその適用範囲を示した.
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© 2004 Japan Society of Hydrology and Water Resources
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