水文・水資源学会誌
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原著論文
つくば市における降水の安定同位体比の特徴について
藪崎 志穂田瀬 則雄
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2005 年 18 巻 5 号 p. 592-602

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抄録

筑波大学構内において,2000年1月から月単位の降水に加えイベント単位の降水を採水して,それらの酸素・水素安定同位体比を測定した.採取したイベント降水のδ18およびδD値には季節的な変動は顕著にあらわれていなかったが,d-excess値には季節的な変動が明瞭に示されていた.また11~3月では気温の低下と共に同位体比が低くなる傾向(温度効果)が確認された.イベントデータを降水量で区分して分析を行った結果,降水量が多い時ほど同位体比が低くなる傾向(雨量効果)が明確に示された.回帰分析の結果においてもこのことが示唆された.更に,降雪の多い時期,および梅雨前線や秋雨前線に由来する降水の同位体比は,他の期間の値に対して低くなっていることも明らかとなった.

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© 2005 Japan Society of Hydrology and Water Resources
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