水文・水資源学会誌
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原著論文
地下水流動および海陸風を考慮したウトナイ湖の土砂分布特性について
長谷川 裕史長谷川 覚也竹村 健藤間 聡
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2006 年 19 巻 3 号 p. 189-204

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抄録
本研究におけるフィールドは,北海道苫小牧市東部に位置し,1991年にラムサール条約に登録されたウトナイ湖である.このウトナイ湖は,流入する河川からの栄養塩や微細土砂の輸送などにより生態系への影響が問題になっている.湖内の流れは,水深が浅いことから地理的にも近い太平洋沿岸の海陸風による影響や湖周辺の地下水の影響を受けていることが予想される.本論文は,はじめにウトナイ湖の地域特性や土砂堆積特性について整理し,次に地下水流動や海陸風の影響を考慮した湖流解析モデルによる再現計算とラグランジェ的手法を用いた水質拡散モデルによるトレーサー粒子の集積箇所を推定した.さらに鉛直2次元流況解析モデルによる流下方向と鉛直方向の流速成分の相関関係式を設定した.その結果より鉛直方向の土砂の沈降量を取り入れた湖床変動解析を実施し,ウトナイ湖に関する土砂の分布域と実際の微細土砂の堆積箇所との比較分析を行った.この結果,本研究において開発したシミュレーションモデルのウトナイ湖における現地適用性を確認するとともに土砂の堆積傾向を明らかにした.
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© 2006 Japan Society of Hydrology and Water Resources
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