水文・水資源学会誌
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原著論文
土壌塩度の測定容易かつ実用的な指標
小林 哲夫王 維真井川 陽介長 裕幸賀 文君
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2006 年 19 巻 3 号 p. 183-188

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抄録
飽和土壌抽出液導電率ECSATが次式によって定義された:
ECSAT≡EC1:χ ただし,χ=ερw/(1-ε)ρd

ここで,EC1:χ は土水比1:χ の土壌抽出液の導電率,ε は実際の圃場条件下での土壌間隙率,ρd は土粒子の密度,ρwは水の密度である.ECSATは,慣習的な指標である標準的手法で調製された飽和土壌ペースト抽出液導電率(ECe)とは異なるが,両指標の物理的意味はほとんど同じである.比較試験の結果,ECSATは,圃場においてTDRを用いても,実験室において希釈抽出法によっても測定することができ,両者の一致度はかなりよいことが示された.ECSATとECeにはそれぞれ一長一短があるが,ECSATは,実験室で真空ポンプのような特別な装置を必要とせずに測定できるだけでなく,圃場でも自動的かつ連続的に測定でき,さらに,土壌断面内の水分・塩分移動を解析する際には地下水の導電率と直接的に比較することもできることから,ECeよりも実用的な指標であると言うことができる.
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© 2006 Japan Society of Hydrology and Water Resources
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