水文・水資源学会誌
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河道水と土壌水の化学的情報を用いた斜面規模の流出経路の検討
ウェレラガマ松林 宇一郎高木 不折
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1997 年 10 巻 5 号 p. 426-437

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抄録

本論文は山地森林流域での河道近傍での土壌中の流れのダイナミックなメカニズムを水量および水質の現地観測結果をもとにして議論したものであり,先行降雨や降雨強度により流出機構が変化することを明らかにした. 河道流のSCの挙動は土湿状態の相違により2種類の異なった経路をとることを示した.すなわち,河道近傍と上方の斜面からの流出が混合することによることを示した.また,基底流のSCが通常期待されるより小さいことを示し,実験室でのカラムテストによっても裏づけた. 物理化学的データにより,基底流の流出メカニズムが粘土質土壌での不飽和現象,そして,それが難透水性の基岩上を飽和流として生ずることを示した. また,現地観測と室内実験より,このような化学的痕跡の解析により河道水や土壌水の挙動が明らかに出来ることを示した.

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