抄録
茨戸川は,石狩川の河口に近いところへ合流している.その流域は低平で石狩川の背水の影響が流入支川にまで及ぶ感潮河川であるため,洪水の危険性が高い.そのため,石狩川との合流点に逆流防止水門が設置されている.この水門の操作や防災体制のために洪水予測が不可欠である.潮位の影響を強く受ける河川であるため,洪水流量を予測して水位に変換する方法では,適切な水位―流量関係式を設定することが難しい.そこで,本報告では,石狩川からの逆流防止のために設置されている水門操作に必要となる水位予測にNearest-Neighbor法を適用し,6時間先までの実時間予測を行った.この結果,Nearest-Neighbor法はある種のパターンマッチングのような非常に簡便な予測手法であるにもかかわらず,上流観測点との水位相関による予測よりも良い結果が得られた.