水文・水資源学会誌
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石狩川の融雪期水質
橘 治国清水 達雄中川 佳久
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1996 年 9 巻 5 号 p. 444-456

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抄録

石狩川の融雪期の水質とその流出特性を調査し、以下の結果を得た.1.水質の特徴 (1)融雪増水時には懸濁態成分(SS, TOCss, PP等)の濃度と流出負荷量が増加する. (2)BOD, TOCF,陰イオンは,流量増加時にその濃度が減少し,地表からの供給量(蓄積量)に限界がある.この傾向は都市化の影響を受けた地点で強い. (3)硝酸態が優占する窒素は,融雪初期に高濃度であるが,蓄積量に限界があり融雪後期には濃度が低下する.リンは大量に土壌に蓄積されており,懸濁態反応リンとして高濃度で流出する. (4)水質成分の融雪期の流出形態は,汚濁物質希釈期,面源汚濁物質流出期,非汚濁物質流出期に区分される.2.水質成分流出特性 (1)年間流出負荷に対する融雪期の割合は,流量の約30%と比較すると,一般無機成分は大差ないが,汚濁成分では低く,特に溶存態有機成分で低い.無機窒素は,都市域下流では若干高く,広域的には低下する.水質成分の流出負荷量は汚染の形態と密接に関連する.(2)融雪期は,地表蓄積成分が洗い出され,この傾向は流域面積と対応して大きくなるが,洪水期に比べるとかなり小さい.

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